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常識について学び、言語化して説明力を得る

前述のように、正規化理論は基本的に常識にすぎないという理由で批判されてきた。優秀な設計者であれば、たとえBCNFの予備知識がなかったとしても、この関係変数を射影SPとSSに「自然に」分解するだろう。だが、「自然に」とはどういう意味なのか。設計者は「自然な」設計を選ぶうえで、どのような「原理」を用いているのだろうか。

答えは、正規化の原理とまったく同じである。つまり、優秀な設計者は、そうした原理を正式に学んだことがなくても、その名前を言い当てることができなくても、そうした原理がすでに頭の中にある。したがって、原理は確かに常識だが、それらは正規化された常識なのである。正規化を批判する人は、だいたいこの点を見逃している。それらの概念が実は常識にすぎないことを(実にもっともらしく)主張するが、総じて、常識の意味を正確かつ形式的に述べることが偉業であることに気づいていない。

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 設計の話を見てると、安定的に稼働するわかりやすいシステムを常識的に考えれば毎度そう結論づけるようなことに対して、あたかも価値ある知識であるようにひけらかしてるように見える。見えるが、設計していく過程において重要なのは、そういったぼんやり考えればそうなりそうなことに対してきちんと理由を説明して、言葉と論理を残していって、周りを納得させていくことなんだと思う。まあこういうのは人によって常識的に捉えられる範囲が異なってしまうからこうなる。これは仕方ない。自分を納得させてきた人たちは総じてこういった説明力が高い人達で、同時にちゃんとその知識をどこから得たのかを整理出来ている人だったように思う。